「申し訳なさ」を知った瞬間
フロントスタッフの大森美花と申します。2014年に大学を卒業して入社しました。
さかえやに入社したきっかけは学生時代に接客のアルバイトをしていて、「やさしくなれるおもてなしをしてみたい」と思ったことです。
入社してからはフロントでお仕事をさせていただくことが多く、2年目の頃の私はとにかく「早く一人前になりたい」という思いで仕事にのめりこんでいました。負けず嫌いの性格もあり、頑張るほどできる仕事が増え、いろんなチャンスをいただけて、仕事が毎日楽しかったです。旅館甲子園でスピーチや太鼓、プロジェクトメンバー、通信の編集やフリースクール、総務や経理の担当もさせていただきました。そうやっていくうちに、いつの間にか自分のことばかりになって周りが見えず、今思うととても生意気な後輩だったと思います。
そんな私が変われたのは、ある事件がきっかけでした。
館内の飾りつけ担当のお仕事をさせていただいた時のことです。「こういう提灯を飾ってみたら」と提案をいただきました。でもその時私は「それはちょっと雰囲気が合ってないんじゃないかな」と内心思っていましたが、何も意見しませんでした。そして「試しで飾ってみて」と頼まれても、
「絶対合わない。私が考えたと周りに思われるのが嫌だな」
となかなか手をつけませんでした。叱られて当然のことなのですが、そのことを指摘されたとき、私は「やらなかった自分」を認めたくなくて逃げていました。そしてその後も何か問題が起こるたびに、「私は頑張ってるのに。周りが分かってくれない。」「助けてくれたらいいのに」と周りのせいにして、自分のことを甘やかしてくれる人に逃げるようになっていました。
そんな私に大きな影響があったのが、「内観」という研修です。これは人に「していただいたこと」「してさしあげたこと」「ご迷惑をおかけしたこと」を認める研修です。内観をしていくうちに、たくさんの人のおかげで今の自分があることに気づきました。自分が仕事をすることができるのは当たり前ではなく、フロントにあったパソコンを使わせてもらっていたからで、その間誰かにパソコンを使えなくさせていたり、資料を好き勝手広げて使えるスペースを少なくさせてしまっていることに、恥ずかしながら気づいていませんでした。仕事を人一倍頑張っていると思っていた自分は、実は周りに迷惑ばかりかけてもいたのです。自分の時間を遣って叱ってくれた社長に、「ごめんなさい」も言っていませんでした。周りのみんなはそんな私でも許してくれて、応援してくれていました。そのことがとても申し訳なく感じました。これまで、たくさんの人に嫌な思いをさせたり、傷つけてきたと思うと、本当に申し訳なく思い、お返しのできる人になりたいと思いました。
入社年数も増え、先輩になっていくうちに、叱ってくれる方のいるありがたさを感じるようになりました。さかえやの中で、自分の立ち位置も変わりますが、どんな立場、部署にいても自分に求められている役割ができたらいいなと思います。コロナ禍になって多くの方との出会いと別れもありましたが、大事にしたいことは変わらずに、さかえやの文化を未来につないでいきたいと思います。
申し訳ない、自分のことを恥ずかしいと思えたことは、今思うと私にとっては本当にありがたいことだったと思います。今でも傲慢になることや事実から目を背けたくなることは時々出てきますが、していただいていること、ご迷惑をおかけしていることを忘れずに、謙虚に生きていきたいです。
最もやさしくなれるのは、ごめんなさいと言える時
大森美花
【プロフィール】
三重県出身
2015年入社
座右の銘: 敵は己の中にあり、暗いと不平を言うより、あなたが進んで明かりをつけなさい
特技: おいしそうにご飯を食べる