1. HOME
  2. ブログ
  3. 外国人社員第一号となって

外国人社員第一号となって

私はネパール人で2016年に来日し、日本語学校と専門学校を卒業して、さかえやに2019年4月に入社しました。

ネパールでは家族を非常に大切にし、家族のために働くことを重要視しています。出稼ぎ労働者として他国に働きに行くことが一般的であり、日本はネパールに比べて高い給与を得ることができるため、家族に送金し、豊かな生活を提供できる可能性に期待して日本に決めました。

日本に限らず、生まれ育った場所と違う国で生活することは、悩みや不安がたくさんあります。母国では当たり前にやっていたことでも、日本ではタブーというケースもありました。私が外国人であることで苦労した事は、まず日本語が十分にできないことでした。何回も言葉の壁にぶつかり、自分はもう無理だと諦めたこともありました。


しかし、そんな時は祖国の家族を思い出します。ここで諦めたら、苦労している家族を支えられないと思うと、何とか頑張らねばと思うようになります。ビザ、外国人登録書、銀行、不動産屋さんの手続き、交通手段、食事に慣れること、職場のルールがわからないなど様々な事にも苦労しましたが、今振り返るとすべて貴重な経験だと思っています。

入社してからも、仕事仲間とコミュニケーションがうまくいかなくて、それを態度に出してトラブルをおこした経験もありました。自分は外国人だからこの事はやらなくていいと自己判断で逃げようとしてチャンスを失った事もあります。依頼された事がギリギリまでできず、信頼感をなくしてしまった事もありました。他の旅館で働いている知り合いの外国人と情報交換をしていると、隣の芝生が青く見えることもあり、会社をやめたくなったこともあります。しかし、これらの逃げ癖が自分の失敗につながっていることを、社長や同期に教えていただき、うまく行くか行かないかという結果よりも、その為にどれだけ努力したかというところの方が、さかえやでは重視していることを知りました。それ以来、私はうまく行こうが行くまいが、逃げないで向かい合うようになりました。それで良かったんだと、今では思います。

優しい先輩方とともに、一緒に入社した同期にも指導とサポートを受け、現在は旅館での重要な役割を果たすおもてなしのサービス部署で働いております。そこでは外国人だからという言い訳は許されません。その為、私はもっと日本語が上手になろうと日本語の猛勉強をしました。読み書きもできるようになろうと、必死で漢字も覚えました。

私たちが日本で就職活動するためには日本語能力の資格が必要ですが、通常は就職してしまうと、そこで日本語能力の試験を受けようとは思いません。なぜなら就職のために資格を取るので、就職してしまえば特段それ以上受ける必要がないからです。しかし、私は入社してからも上のランクの日本語能力試験に挑戦し、上のランクの資格を取る事ができました。

日本人でなくても接客するだけならできます。しかし、プロとしてやる以上、国籍関係なくお客様に満足してもらえる接客ができなくてはいけません。祖国の家族のことを思い、そしてさかえやの仲間がサポートしてくれることで、私は努力していくことができました。今では名指しでお客様がクチコミで褒めて下さることも増えましたし、ハガキもほぼ毎日日本語で書くようになりました。外国人ということは実は言い訳だったんだと、今は自分の逃げる口実にしないと決めました。

私はまだ独特な日本語だと思いますが、旅館に働いて誰かの大切な1日を手伝えるという喜びも感じています。訪れるお客様も起こる出来事も毎日変わりますが変化のある日々の中で、会話のスキルや知識、おもてなしのスキルを幅広く身につけられるようにこれからも努力していこうと思います。

持って生まれたものを言い訳にしなくなれば、人は成長できる

グルン・スリヤ


  • 【プロフィール】
    • ネパール出身
    • 2019年入社
    • 座右の銘: 仲間同士が互いに励まし合えば向上していく
    • 特技: 語学(日本語、英語、インド語、ネパール語、グルン語)、すぐ仲良くなれる事